冬が嫌いになった
今までは、夏よりは冬のほうが好きだった。
汗っかきなので、夏の暑さにやられて汗まみれになるより、
冬に寒い寒いと言いながらこたつに入って、あったかいココアでも飲む方が好きだった。
去年の冬、私は働いていた。
初めて東京で過ごす冬で、地下鉄と外の温度差がすごくて驚いた。
オフィスは暖かいし、冬は田舎より都会のほうが楽だなと思った。
駅から会社や家に向かう時だけは寒気に晒されて、スヌードに顔をうずめて歩いたのを覚えている。
でも、どうやって働いていたか覚えていない。
少なくとも今よりは、公私共に充実していて、ちゃんとお金をもらって働いていた。
初めて睡眠障害の症状が出たのは去年の11月だった。
理由は明白で、残業が急に増えたから。
といっても40時間くらいで、世の中の残業に苦しむ人に比べたら大した時間じゃない。
体力のない自分と折り合いをつけながら、1ヵ月くらいで症状はおさまった。
1年経った今、私は休職している。
セロトニンが足りないのか毎日無意味に落ち込んで、
働けない自分の存在意義をどこかに探している。
遠く離れた家族は姪っ子の誕生を喜び、毎日大変だけれど幸せそうだ。
今日父から電話が来たと思ったら、プリンターが動かなくなったから直し方を教えてくれと言われた。
とりあえず教えておいた。
いったいどこで選択を間違えたんだろう。
もしかして最初から間違えていたのか。
この頃の寒さが余計に心を刺しているような気がして、冬が嫌いになった。
早く春が来てほしい。